脱ゴーマニズム宣言裁判を楽しむ会議室
1998/03/26(18:24) from 210.159.69.86
作成者 :物理学徒(quantum@pa.airnet.ne.jp)
問題のコマについて

はじめまして。
多忙なくせに怠惰なので、暇なときに気が向いたら現れます。
上杉氏を支持する人の書き込みが少ないのは、出る幕がないからでしょう。氏の主張が見事である上に、なんといっても当事者ですから。ちなみに私は「支持派」です。
 問題の部分ですが、小林氏は確かにこのコマに至るまでに元慰安婦の証言の信憑性を問題にしています。そしてこのコマの直前で、「確実にどれかはウソじゃないか」と叫んでいます。しかし問題のコマは、ここまでの論理の流れから少し外れているのです。問題のコマでは、上杉氏が言うように、突然、「元兵士の証言」が出てきます。慰安婦の証言の信憑性を問題にしていた論理の流れからすると、ここで元兵士の証言を出す必然性はありません。むしろ出すべきではないのです。曖昧さを含む証言をどこまで証拠として採用できるかを論ずるべきなのです。しかし小林氏はそれをせずに、まさに「相殺の技法」によって元慰安婦の証言を切り捨てています。いくらそれ以前のコマで「信憑性」を問題にしていたとしても、「相殺」による解決を試みたことは確実なのです。
 ここまで書いておきながら言うのも何ですが、この問題を論ずることにあまり意味があるようには思えません。このような解釈論争は水掛け論にしかならないのではないでしょうか。ここはこう読むべきか、ああ読むべきか、などと言う論争に結論が出るとは思えません。もちろん私が書いたこともあくまで私の解釈でしかないわけです。それから、「ここはこう読むのは明らかであり…読めないのは読解力がない」などという強弁術は止めましょう。
 仮に「信憑性」を主張していたとしても、小林氏が「ワルモノ」に思われるかどうかの問題で、従軍慰安婦問題とも著作権の問題とも無縁です。そもそも「脱・ゴー宣」のメインは小林氏の論理の杜撰さ、資料を良く読まずに結論を出す(注)ことなどを問題にしているわけですから、小林氏の味方をするならこの点を論ずるべきではありませんか?
どうも問題のコマの論争は揚げ足取りのように思えて仕方がないのです。

(注):吉見氏が発見した「副官通牒資料」を、タイトルだけを呼んで、中国前線での慰安婦徴集についての命令書だと勘違いした。また、この命令書の中で「内地」と言ったことの主旨を理解していない。さらに「故二軍部ノ諒解等ノ名義ヲ利用」(わざわざ軍の了解を得ているなどと言って)を「軍の名を騙って」と資料を改竄引用している。(「脱・ゴー宣」78ー81ページ)など多数


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