脱ゴーマニズム宣言裁判を楽しむ会議室
1998/04/18(04:23) from 143.90.207.226
作成者 :スグル(series@anet.ne.jp)
あれくさんへお返事
どうも、スグルです。あれくさんの反論読ませてもらいました。ちょっと長くなります。スマラン事件ですが、

>私はこの件で重要だと思った事は「2ヶ月で閉鎖」した事ではありません。それはまず、このような不祥事が発生した場合閉鎖は全くの常識の処置ではないかと思っているからです。不祥事を起こした会社が営業停止になるのは当然ですね。

「常識の処置」…ということは、日本軍が強制売春を禁じ、決して犯罪を放置していなかった事はあれくさんも認識されているのですね。それともう1つ前の言葉に注目してください。日本軍は「女性が自発的に働く事」が満たされていないために慰安所を閉鎖したのです。重要なのはこちらの方です。

>それよりも重要な事は当時被疑者である軍人が全く処罰を受けなかった事に違和感を覚えます。これはなぜでしょうか?その背後には女性の性に対する軽視があったのではないかと推測しています。もしこの女性に対する軽視が当時の日本軍に共通のものであったなら「従軍慰安婦強制連行」もまんざらデタラメではないかと思ったりしています。(無論確証にはなりませんが)

あれくさんの言う通り、確証にはなりません。戦時中に裁かれなかった事に違和感を覚えるのはもっともだと思います。しかし犯罪をおかした軍人達は戦後懲役にも服し、死刑にまでなり、十分罪の償いは済んでいます。これを根拠に「日本軍が強制連行していた」と考えるのはムリがありますよ。失礼ですがそれはあれくさんの偏見ではないでしょうか?被害国であるオランダが事件の実態調査で「当時の日本軍の慰安所設置の規則では『女性が自発的に働く事が許可条件だった』」と報告しています。日本軍が本当に「女性の性を軽視」していたなら、このような規則を作る必要などありません。

>この件に関しましてはかなりの数の人が有罪判決を受けるに至っています。これはとりもなおさず、犯行が組織的であった事を示すものではないかと推察します。いわずもがな収容所から、慰安所までの連行が一人で出来るとは思えません。証言から見ても強姦というより輪姦に近く、そのような凶悪犯罪があったという事を忘れてはならないと思っています。

確かに凶悪犯罪があった事は忘れてはならない事です。推察するまでも無く「犯行が組織的であった事」は9人もの人間が有罪になった事からもわかります。しかし問題は「軍本部の方針で行われた犯罪では無かった」という事です。スマラン事件は一部の軍人の暴走行為による事件であって、国家の責任を問える「軍命令による人狩り的強制連行」とは別の問題です。

あれくさんは「個人レベルの罪」と「国家レベルの罪」をごっちゃにしてはいないでしょうか。あれくさんの論理に従えば行きつく先は「全てを取り締まらねばならない」となってしまうのでは?これは絶対に不可能です。どんな時代でも犯罪は発覚すれば当然裁かれます。しかし発覚しなければ裁く事はできません。まず個人レベルの犯罪を国家の責任にする事など出来るのでしょうか?
例えば「私の子供が通り魔に殺されたのは警察が治安維持をなまけていたからだ」と言えば国家は責任を取って補償を出すでしょうか?前にも書きましたが、犯罪というのはどんなに取り締まっても完全に防ぐ事は出来ないものです。

>それに繰り返すようですが、慰安所は閉鎖はされましたが、これは当然の行為で「関係者は裁かれてはいません」。
>この点はきちんと認識しておくべきです。閉鎖されたぐらいでいばられてもなあ〜って感じですので(^^;)。裁かれたのは戦後で、結局日本軍が国際法に違反していた事実は残ります。
>この点こそが重要だと思いますが如何でしょうか。

いや、ですからね、そのぐらいはわかってますよ。(別にいばってるわけじゃないですが)しかし国際法云々以前にスマラン事件の場合は犯罪をおかした軍人はすでに罪を償っているんです。最近よく新聞で提示される軍紀違反の輩による強姦事件の資料でも、すべて犯罪を裁かれた記録ばかりで、軍が暴走行為を取り締まっていた事を示すものばかりなんですよ。あれくさんが悟のぱぱさんに書いていたように、日本軍は「あたりまえのこと」をしていたんです。となれば「『軍』が何か悪い事してたのか?」という所に行き着くはずです。
レイプ犯罪などは平和な日本でも起こっています。それを「警察が完全に取り締まらないから無くならないんだ。責任取れ!」とか言って文句付ける人はいないでしょ。全てを取り締まる事など不可能ですから。
国際法の件ですが、国際法には罰則規定が無く、規定に関しては各国の国内法に委ねられるものだそうです。ですからほとんど意味は無いと思います。

>拘禁状態における証言が裁判で却下されるというのはどのような根拠に基づくものでしょうか?是非お教え願えませんでしょうか?また、長期拘束された末の供述が証拠になり得ないというのも不思議です??たとえば警察に逮捕され長期拘留された末自白した場合その自白、供述した内容は裁判では根拠にならないものなのでしょうか?

素人なんで、法の話になると断言までは出来ませんが、拘禁状態における自白は証拠としては採用できないそうです。一応提示しておきますね(憲法第38条、ここでは「自白」となっていますが)。
それと中国戦犯管理所からの供述は今までにもたくさん出ていて、慰安婦裁判が始まってから6年以上経ってるのに全く表沙汰にならないところを見ると、(朝ナマの「強姦所資料」のように)これらの供述は現在に至るまで全然役に立ってないという事ですね。上杉氏が「軍命令による暴力的強制連行を積極的に証明するものではない」と言っていたのも、決定的証拠にはならない事がわかっているからでしょう。

>私がこれら証言を認めるのは悟のぱぱさんの返事に書いた通りで、当時の中国の収容所は今の中国からはとてもではないけど想像できないくらい戦犯の方達に対して紳士的に接したという証言があるからです。

そう。それもまた一方的な「証言」だけなんですよね。証言だけなら何とでも言えるんですよ。

>ただ、証言は特にあまり時を得ていない分、かなり当時の様子を忠実に再現していると思います。特に矛盾や間違いが無い限りそれを単独で証拠とする事は別におかしい事ではないと思います。おかしいと思えば、その点をきちんと証拠を立てて疑問を呈して欲しいと思います。

「特に矛盾や間違いが無い限り」とおっしゃっていますが、ならば「強制連行アリ派」の人達は証言に「矛盾や間違いが無い」ことを証明しなくてはなりません。今までに出てきた証言は資料と合致しないばかりか、裏付けるものは何も出ていません。

>結局証言で重要な事は、その証言を通して当時何があったか浮き彫りにする事ですから、もう少し慎重に吟味して欲しいと思います。

ですから、まず証言を提示した「強制連行アリ派」にその立証責任があるのです。彼らはとにかく「証言を信じろ」と連呼するばかりで、内容について真面目に検証しているとはとても思えません。まず検証の結果を提示してこそ議論になるのですから、それを全くせずにただ一方的な証言を出すだけでは、単なる「垂れ流し」になってしまいます。「検証する気が無いなら話にならない」というのが自由主義史観派のスタンスではないでしょうか。と僕は考えます。


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