脱ゴーマニズム宣言裁判を楽しむ会議室
1998/05/08(16:33) from Anonymous Host
作成者 :悟のぱぱ(ymaeda@ps.inforyoma.or.jp)
Re: 人道に対する罪についての質問
菅二郎さん wrote:

>一つ疑問に思うのは「人道に対する罪」にもとづいてナチスの虐殺関係者を告発・起訴する場合、どの国の刑法に基づいて行うのでしょうか?
>例えばブラジルへナチスの虐殺関係者が逃亡し、発見された場合どのような手続きをもって裁くのでしょうか。やはり国際裁判でするのでしょうか。

>それでは


基本的に国際司法裁判で裁かれます。この場合、どの国の刑法とも無関係でしょう。(今手元に資料がありませんので詳しいことは言えません。ナチスの戦犯追及については関係資料を持っていたような気がしますので、のちほどなにかお答えできるかもしれません)
東京裁判がよい例です。つまり、戦争に負けた側が、勝った側の強制力によって裁かれる、という形が、ニュルンベルグ裁判以降の国際司法のありかたのようです。戦勝国の国際法違反はまったく裁かれなかったわけですから。
また、戦争の最中に行われた国際法違反は、その敵国によって裁かれました。例えば、日本においては国際法に準拠した軍律に基づく軍律法廷というもので「敵性民」を裁いたとの事です。

つまり、国際法違反が裁かれるのは、戦争に敗北した国、或いは戦争中に国際法違反を犯した個人が敵国に捕まった場合、基本的にはそういうケースに限られます。(ナチスの場合は、自国民に対する罪ですので戦後も時効なく追求されているわけですが、それがどういう国際法上の条項によるものかは分かりません。また国際裁判における量刑がどのように決まるのかについても、はっきりしたことはわかりません)

国際法は、法ではありますが、慣習法であり、その強制力はやはり国家に依存しているわけですから、戦勝国は裁かれないというのは当たり前の事ではありますね。


前の発言へ 次の発言へ List Index