脱ゴーマニズム宣言裁判を楽しむ会議室
1998/05/11(00:13) from Anonymous Host
作成者 : 今井恭平(pebble@jca.ax.apc.org)
Re: 「慰安婦」証言を全面的に証拠として採用
「しかしながら、慰安婦原告らがいずれも貧困家庭に生まれ、教育も十分でなかったことに加えて、現在、同原告らがいずれも高齢に達していることをも考慮すると、その陳述や供述内容が断片的であり、視野の狭い、極く身近な事柄に限られてくるのもいたしかたないというべきであって、その具体性の乏しさのゆえに、同原告らの陳述や供述の信用性が傷つくものではない。かえって、前記(一)ないし(三)のとおり、慰安婦原告らは、自らが慰安婦であつた屈辱の過去を長く隠し続け、本訴に至って初めてこれを明らかにした事実とその重みに鑑みれば、本訴における同原告らの陳述や供述は、むしろ、同原告らの打ち消し難い原体験に属するものとして、その信用性は高いと評価され、先のとおりに反証のまったくない本件においては、これをすべて採用することができるというべきである。」

この判決は画期的なものですね。たしかに30万円という賠償額に、ハルモニ達が怒り、判決文を破り捨てた、というような話しも聞くと、その気持ちは十分に理解できますが、国家の立法不作為の部分についてだけの賠償ですから、金額的なことはある意味では問題ではなく、立法による国家賠償の不作為が不法行為に当たるという認定、つまり国家賠償を義務として認めたという意味できわめて画期的なものです。したがって、この判決をテコに、立法措置による国家賠償を認めさせていくことがますます大切になったと言えるでしょう。

また、貧困や、教育が受けられなかったことの認定の背後には、日本の植民地支配による苛斂誅求や土地収奪、文化破壊が当時の朝鮮の貧困や、人々の教育からの排除を生み出したという歴史認識がなければならないのは当然であり、こうした歴史的事実を無視して、一般的な貧困や無教育の問題に解消し、日本人の娘も売られた時代だから、として他民族抑圧という異なる性質の問題を合理化しようと言う自由主義史観派なる連中の無思想ぶりを嘲笑する内容になっていると思います。
歴史観なきディベイト好き人間に対して言えるのは、「無知は論拠にはならない」ということだけです。


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