脱ゴーマニズム宣言裁判を楽しむ会議室
1998/05/11(23:35) from Anonymous Host
作成者 :悟のぱぱ(ymaeda@ps.inforyoma.or.jp)
Re: 人道に対する罪についての質問
管二郎さん、こんにちは。悟のぱぱです。

>調べてみたのですが、国際司法裁判所では第二次世界大戦における事件に関する1948年第4次ジュネーブ条約違反については争われたことはまだないと思います。

第4次ジュネーブ条約の採択は1949年だと思います。
この条約について、争われたことがないのはニュルンベルグ裁判も東京裁判も結審しておりますので当然だと考えます。
そもそも、罪刑法定主義という大原則を破って行われたこれらの国際裁判の方こそが、文明社会にはあるまじきことで非難されるべき事であり、この「判例」を以て事後法による裁きを正当化する事が出来るようになるとすれば、パール博士も慨嘆した如く、「法の真理は失われた」というべきでしょう。
「人道に対する罪」を含む第二次世界大戦の反省からこの条約改定が行われたのは明らかですが、第二次世界大戦の事件についてはすでに国際裁判も終了した後、この条約に基づいて争うというのは問題外かと思います。

>ニュルンベルグ国際軍事裁判、東京極東軍事裁判と各地の占領地で行われた一連の軍事裁判では、ドイツ、日本などの枢軸国は後の第4次ジュネーブ条約とほぼ同内容の原則にもとづいて裁かれました。
>第4次ジュネーブ条約の retroactive な(過去に遡のぼる)適用といってもよいかもしれません。

むしろ反対で、先ほど述べましたように、第二次世界大戦の反省からの条約改定であり、これら二つの国際裁判こそが、法の大原則を曲げた事後法による非文明的な裁判であったと言うべきでしょう。
また、その時点で採択されていない条約を適用するというのは事後法ですらありません。事後法ならば、少なくとも裁判の時点ではその法は存在するわけですが、第4次ジュネーブ条約となれば、法すらも存在しない状態で裁いたということになり、これはもはや、事後法すらも超える非文明的な所業でしょう。

>ここでは第4次ジュネーブ条約に抵触すると思われる原子爆弾による無差別爆撃などは問われていません。これは一種の二重基準だと言ってよいかもしれません。

二重基準というよりは、やはり、戦勝国は裁く者であり、戦敗国は裁かれる者であるという厳然たる事実でしょうね。

確認したいのですが、あなたがこの問題にこだわる意図がよく分からないのです。
人道に対する罪、或いはジュネーブ条約によって従軍慰安婦問題になんらかの結論を出すことができるというお考えなのでしょうか?
具体的に言えば、ジュネーブ条約を事後法として第二次大戦時の日本を裁くことで従軍慰安婦問題になんらかの法的解決をしようという意図なのでしょうか?

(引用を一部省略させていただきました)


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