脱ゴーマニズム宣言裁判を楽しむ会議室
1998/05/11(13:21) from Anonymous Host
作成者 : 菅二郎(at33@hotmail.com)
Re: 人道に対する罪についての質問
悟のぱぱさん、こんにちは。

悟のぱぱ wrote:
> 基本的に国際司法裁判で裁かれます。この場合、どの国の刑法とも無関係でしょう。(今手元に資料がありませんので詳しいことは言えません。ナチスの戦犯追及については関係資料を持っていたような気がしますので、のちほどなにかお答えできるかもしれません)
> 東京裁判がよい例です。つまり、戦争に負けた側が、勝った側の強制力によって裁かれる、という形が、ニュルンベルグ裁判以降の国際司法のありかたのようです。戦勝国の国際法違反はまったく裁かれなかったわけですから。
> また、戦争の最中に行われた国際法違反は、その敵国によって裁かれました。例えば、日本においては国際法に準拠した軍律に基づく軍律法廷というもので「敵性民」を裁いたとの事です。

> つまり、国際法違反が裁かれるのは、戦争に敗北した国、或いは戦争中に国際法違反を犯した個人が敵国に捕まった場合、基本的にはそういうケースに限られます。(ナチスの場合は、自国民に対する罪ですので戦後も時効なく追求されているわけですが、それがどういう国際法上の条項によるものかは分かりません。また国際裁判における量刑がどのように決まるのかについても、はっきりしたことはわかりません)

調べてみたのですが、国際司法裁判所では第二次世界大戦における事件に関する1948年第4次ジュネーブ条約違反については争われたことはまだないと思います。
また国際軍事法廷もジュネーブ条約違反以降は旧ユーゴスラビアとルワンダの2つしか設置されていません。
この2つの国際軍事法廷は安全保障理事会にの決定により設置されたようです。
しかし国内法の壁にはばまれて期待されたほどの効果はあがっていない模様です。


> 国際法は、法ではありますが、慣習法であり、その強制力はやはり国家に依存しているわけですから、戦勝国は裁かれないというのは当たり前の事ではありますね。

ニュルンベルグ国際軍事裁判、東京極東軍事裁判と各地の占領地で行われた一連の軍事裁判では、ドイツ、日本などの枢軸国は後の第4次ジュネーブ条約とほぼ同内容の原則にもとづいて裁かれました。第4次ジュネーブ条約のretroactiveな(過去に遡のぼる)適用といってもよいかもしれません。

ここでは第4次ジュネーブ条約に抵触すると思われる原子爆弾による無差別爆撃などは問われていません。これは一種の二重基準だと言ってよいかもしれません。

それでは


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