脱ゴーマニズム宣言裁判を楽しむ会議室
1998/06/01(02:19) from Anonymous Host
作成者 : kyou(kyou@yb3.so-net.ne.jp)
こんなのがあります。
>ここで論じられているのは「小林が『脱ゴー宣』を著作権法違反であるとして訴訟を起こした事は果たして言論弾圧か否か、でしょ?

え〜っとかつてAMLにこんなのが流れてました。引用します(長いですけど)

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ここで論じられているのは
>「小林が『脱ゴー宣』を著作権法違反であるとして訴訟を起こした事は果たして言論弾圧か否か、でしょ?

え〜っとかつてAMLにこんなのが流れてました。引用します(長いですけど)

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Subject: 小林よしのりが「言論弾圧」 From: 戦争責任/楠 <CXM00507@niftyserve.or.jp>
Date: Sun, 30 Nov 1997 23:17:00 +0900
Seq: 6922
JCA / AML のみなさま                                                  1997-12-1 
                                                         日本の戦争責任
                                                          資料センター
                                                         internet group  
 
 楠 war-resp@jca.ax.apc.org
                                             http://www.jca.ax.apc.org/JWRC/index-j.html
小林よしのりが「言論弾圧」を始めようとしています。
当戦争責任資料センターの事務局長、上杉 聰が先月『脱ゴーマニズム宣言』
を出版いたしましたが、この絶版を要求する文書が届けられました。
 小林氏からはまだ告訴がありません。彼は迷っているのかも知れません。法的に彼の
勝てる理由はないそうですし、日弁連前会長が代理人を引き受けてくださったことも多
少は影響あるかも知れません。
『噂の真相』が十二月十日号で、『週刊金曜日』が十九日号でこの問題が掲載される予
定。
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  小林よしのりが「言論弾圧」ーー『脱ゴーマニズム宣言』の絶版を要求
                                                            上杉 聰
 先月下旬、私は、小林よしのり氏の「慰安婦」論を批判して『脱ゴーマニズム宣言』
(以下「拙著」)を東方出版から上梓した。幸い、広範な方々から激励のお便り、書評
などを寄せていただき、たちまち三刷りを数えた。
 これに対し、十一月七日夕刻、次のような「通告」が、東方出版および同社を経由し
て私に、漫画家・小林よしのり氏の代理人より書留内容証明郵便で届けられた。
       通 告
   小職らは、漫画家小林よしのり氏の委任により、同氏の代理人として通告する。
   貴社および貴殿(以下「貴社ら」という)が出版する「脱ゴーマニズム宣言」(以
 下「本件書籍」という)においては、小林氏に著作権の帰属する「絵」を多数無断掲
 載している。貴社らはそれを「引用」と称しているが、著作権法及び判例において認
 められている「引用」の要件を何ら満たしてはいない。すなわち、貴社らが本件書籍
 で展開しているのは、いずれも小林氏の意見(強いていえば「絵」の中のネーム部分
 のみ)に対する批判・批評に過ぎず、小林氏の「絵」そのものに対する批評ではない
 。そこで「引用」する必然性・相当性が認められるのは、せいぜいネーム部分のみで
 あり、かつ全てそれで足りている。したがって、貴殿らが小林氏の承諾なく多数の
 「絵」を転載したことは、明白かつ悪質な著作権侵害(無断複製、著作権法第二一条
 違反)である。
   また貴殿らは小林氏の著作にかかる「絵」の一部を改変しており、この点は明白な
 同一性保持権(著作権法第二〇条一項)の侵害である。
   さらに、本件書籍のタイトル「脱ゴーマニズム宣言」は、小林氏の著作であり社会
 的に広く認識されている「ゴーマニズム宣言」および「脱正義論」の各タイトルを単
 純につなぎ合わせたもの本件書籍のタイトル「脱ゴーマニズム宣言」は、小林氏の著
 作であり社会的に広く認識されている「ゴーマニズム宣言」および「脱正義論」の各
 タイトルを単純につなぎ合わせたものであり、しかも背表紙に「小林よしのり」と赤
 字で表記するなど、一般読者をしてあたかも小林氏自身の著作物であるかのごとく誤
 信せしめる体裁としている。これは明らかに不正競争防止法第二条一号または二号所
 定の「不正競争」に該当する。
   以上の貴社らの所為は、きわめて意図的かつ悪質なものと判断せざるを得ない。
   よって、小職らは、貴社等に対し、直ちに本件書籍の出版を停止し、絶版とするこ
 と、既に流通している本件書籍を速やかに全て回収し廃棄すること、本件書籍の印刷
 原版を廃棄すること、本件書籍の売り上げ金全額を右著作権者侵害の損害賠償として
 小林氏に支払うことを要求する。
   本書到達から五日以内に貴社らから誠意ある回答がない場合には、直ちに刑事告訴
 および民事訴訟等断固たる法的措置を執る。                       以上
       平成九年一一月六日
                              小林よしのり氏代理人
                                 (弁護士二名の住所氏名を略す)
   東方出版株式会社御中
 (東方出版の住所を略す)
   上  杉     聰  殿
  
 「本書到達から五日以内に貴社らから誠意ある解答」を寄せよ、と性急な要求をして
いるのだが、右通告が出版社に届いたのは金曜日の夕刻である。私に渡されたのは、そ
の日たまたま出版社と会う約束をしていた十九時前だった。
 弁護士を介しての正式な文書を送り届けながら、五日間という短期間であることに加
え、土日を挟んでいるため、こちら側は弁護士をさがし、相談をするまでの余裕がない
。そうした中で回答を迫るなどというのは、「無理難題」と呼ぶべきだろう。
 しかも、拙著の「絶版」などを要求し、回答がなければ「直ちに刑事告訴および民事
訴訟等断固たる法的措置を執る」というのだから、恫喝に等しい。
 私としては、まず弁護士と相談し、その上で全ての対応を決める予定だが、時間的に
間に合わない可能性があり、そのためになんらかの次の行動が小林氏側からおこされる
可能性もあるので、その前に、事態の説明と批判を、ここに内々にしておきたい。
 まず「通告」に、「小林氏に著作権の帰属する『絵』を多数無断掲載している」と非
難していることに対しては、あらかじめ拙著のあとがきに次のように記しておいた。
  最後に、小林氏の漫画を、本人の了解なく大量に引用させていただいたことをお断
 りしておきたい。相手の表現をまず正確に引用してからでないと、批判を厳密に行え
 ないため、漫画そのものを掲載しなければならなかったからだ。これは、普通の文章
 を批判する場合と同じで、他人の文書を歪曲して批判するなどしてはいけないのは当
 然だ。正確に相手の表現を引用した上で批判するのが礼儀であり、その際、本人の了
 解が必要ないのと同じだ。漫画を批判するとなると、文字だけではどうしても正確を
 期したことにならない。画面そのものに含まれた多様な情報も引用する必然性がある
 。
  これは、専門家に相談した上で行った。漫画の部分的な引用は、それを評する文章
 との間に必然的な連関があるかぎり、著作権に抵触しないとのことだ。漫画に対する
 批評を正確に行うための「引用権」とでも呼んでもよいかも知れない。小林氏も、本
 文の九四ページにあるように、私の顔を勝手に描いておいて、自分の漫画だけは一切
 自由に引用するな、などと勝手でわがままなことは言わないだろう。
 「専門家」と書いたのは著作権協会であり。電話で詳しく私の質問に応じてくれ、判
例もすでにある、ということだったので安心して出版作業に入った経緯がある。
 しかし小林氏は「わがまま」を主張し、争う構えを見せている。そして、こうなるこ
とも、ある程度、出版社も私も覚悟していた。拙著で私は、「小林よしのりの『慰安婦
』問題」を完全に論破したと考えている。彼はそれに内容的に反論できない筈である。
だとすれば、残る手段は一つしかない。自分を被害者に仕立てて、拙著の出版を差し止
めることだけだろう。
 小林氏も言論人であれば、法的手段に訴える前に、言論でもって私に反論すべきだっ
た。小林氏のマンガを部分的に引用したからといって、同氏が何か具体的に損害をこう
むったか考えてみればよい。
 「通告」は「絵」と書くが、「絵画」の「絵」と漫画の「絵」は違う。もし「絵画」
の全体を一コマに無断転載すれば著作権の侵害になろう。絵画は一コマで完結している
からだ。漫画でも一コマ漫画ならそう主張することが出来る。だが『ゴーマニズム宣言
』のように長く、論理展開と合体しているような漫画は、一コマや数コマの引用で著作
全体を転載されたわけでないのだから何ら被害は生じないはずだ。むしろ漫画本の宣伝
効果さえ起こりうる。
 「通告」は、小林氏の漫画を「絵」と「ネーム」と呼ばれる文字部分に分けた上で、
「『引用』する必然性・相当性が認められるのは、せいぜいネーム部分のみであり、か
つ全てそれで足りている」とも主張する。ならば逆に尋ねるが、小林氏はなぜネームだ
けを書かなかったのか。ネームでは不足すると考えるから「絵」を加えているのではな
いか。あるいは「絵」を補う意味も含めてネームを入れているのではないか。つまり「
絵」と「ネーム」は小林氏の漫画において不分離なのである。それを分離して引用せよ
ということ自体が、自身の作品に対する冒涜ではないのか。
 たしかに、私の本によって小林氏が失ったものは大きい。だがそれは、同氏がもはや
漫画家の魂が死んでしまっていることを内容的に暴露されたからにほかならない。だと
すれば、それは法的手段などに訴えることによってでなく、「俺の漫画家精神は死んで
いない」と、正々堂々と内容ある漫画を描いて応じればよいことだ。それが出来なくな
っていること自体に、小林氏の「魂の死」をここに改めて確認せざるを得ないのである
。
 小林氏はかつて、自分に抗議してきた福岡四三団体が「元『従軍慰安婦』への侮辱的
な漫画の単行本化をしないこと」と要求したことに対して、「完全な言論弾圧である!
」と応酬した(『新ゴーマニズム宣言』第三二章)。私は今、このセリフをそっくり、
今回の小林氏の私に対する行為に置いてみることをおすすめする。
 「通告」はまた、小林氏の「『絵』の一部を改変」していると非難する。これは、何
人かの肖像部分に目隠しを私が描き入れたことを指しているのだろう。これも拙著十七
頁に書いたように、「肖像権保護のため」である。小林氏は私も含めて、多数の人々の
肖像権を侵害し、それによって漫画家としての報酬を得てきた。こうした人権侵害がい
つまでも許されるものではない。
 肖像権を著作権の下位に置くことは出来ない。もしそうなれば、「著作」はいくらで
も「肖像権」を侵害できることになってしまう。
 私がこのように書くのは、小林氏の漫画が肖像権を侵害しうるだけの描写力を備えて
いることを認めるゆえの話である。だが、そのことは逆に、プロボクサーの一撃が通常
人の殴打と異なって凶器となりうるのと同じ問題として反省すべきである。個人的な会
話ややりとりまで漫画として描き、それを公称三〇万部といわれる雑誌に発表してきた
重大な権利侵害は、どこかでストップをかけなければならない。
 小林氏は、私についても、本人の承諾も得ず、無断で肖像を漫画に描いた。そのコマ
を私が引用するについては、他の人には目隠しをしたが、私にかぎって付けなかった。
その理由は、本当はもっといい男だということを示したかったからだ。そのため、著者
紹介の箇所に私の顔写真を掲載した。
 私も、小林氏に「通告」する。もしこれからも私の身体の一部を漫画に描くようなこ
とがあれば、肖像権の侵害で刑事・民事の法的措置を執る。
 また「通告」は、「タイトル『脱ゴーマニズム宣言』は、小林氏の著作であり社会的
に広く認識されている『ゴーマニズム宣言』および『脱正義論』の各タイトルを単純に
つなぎ合わせたもの」とオリジナリティーが欠如していると非難している。たしかに「
つなぎ合わせている」ように見えるかも知れないが、ならば小林氏から「脱」「ゴーマ
ニズム宣言」と両者を単純に結び付ける発想が出てくるだろうか。絶対に出てこない。
それが、自分だけはもとから批判の対象から外している「ゴーマニズム宣言」手法の根
幹だからだ。
 それを見抜いたのは私であり、したがって「脱」と「ゴーマニズム宣言」を結び付け
る表現は私だけに帰属する。以後、小林氏は、間違っても『脱正義論』と『ゴーマニズ
ム宣言』を続けて書く際に、面倒くさくなって『脱ゴーマニズム宣言』などど書かない
よう警告する。
 「通告」はまた、「背表紙に『小林よしのり』と赤字で表記するなど、一般読者をし
てあたかも小林氏自身の著作物であるかのごとく誤信せしめる体裁としている」と非難
する。だが、これは、その前にやはり赤字で「脱」とあることから「脱小林よしのり」
と読ませようという工夫なのである。まちがっても小林氏の著作と「誤信」させようと
いう意図などないことは、表紙の半分以上のスペースを使って「これは、漫画家小林よ
しのりへの鎮魂の書である。」と大書していることから明らかである。この本を小林よ
しのり氏の本と「誤信」する可能性が残るとすれば、「自分自身への鎮魂の書」という
理解が成り立つことを想定しなければならない。だが、「自分が自分を鎮魂する」など
というのは論理矛盾であり、そうした矛盾した論理を「誤信」できる読者など、一人も
いないと思うから安心していただきたい。
 このような理由から、「通告」が要求する、拙著を「絶版」するなどの処置を私は受
け入れることは出来ない。これだけ説明しても「法的措置を執る」と小林氏側がいうの
であれば、仕方ないことだ。どうぞご自由に。言論人として恥ずかしいことを描いたの
みならず、それを批判する者を「弾圧」しようとしている小林氏への批判を、これまで
どおり言論で、また法廷で続けるだけである。
 一九九七年一一月九日                           上杉 聰
P.S. その後、弁護人として日弁連前会長・土屋公献氏ほか六人が引き受けてくださ
いました。しかし、直後に中国へ出張のため、期限内にとりあえずの措置として、上の
文書を相手方に送り、一八日には、正式に代理人として上とほぼ同趣旨の回答を送って
くださいました。小林氏からの返事はまだありません。
 なお『SAPIO』の最新号に『脱ゴーマニズム宣言』への反論?と告訴する決意を
小林氏が書いています。私のもとへも支援の申し出が始まっています。
                                              (30日、追記)
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一応引用元のURLです: http://www.jca.ax.apc.org/aml/9711/6922.html

他ならぬ上杉氏が:

>小林氏はかつて、自分に抗議してきた福岡四三団体が「元『従軍慰安婦』への侮辱的な漫画の単行本化をしないこと」と要求したことに対して、「完全な言論弾圧である!。」と応酬した(『新ゴーマニズム宣言』第三二章)。私は今、このセリフをそっくり、今回の小林氏の私に対する行為に置いてみることをおすすめする。

と書いているのですよ。


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