脱ゴーマニズム宣言裁判を楽しむ会議室
1998/06/04(04:05) from Anonymous Host
作成者 : 北の狼(tngc@po2.nsknet.or.jp)
Re: 戦争責任とは何か
さとりんさん、はじめまして、北の狼です。
私のできる範囲であなたの疑問に答えたいと思います。

「日本の戦争責任資料センター」の関係者が「戦争責任」を定義できないとしたら、何ともお粗末な話ですね。

一般的に戦争責任といえば、「戦争犯罪」の責任ということになるでしょう。「犯罪」とは法を侵すことです。そして、戦争犯罪は二つに分類すると分かりやすいでしょう。
1)個人の犯罪  これは個人的な理由から国内規則や上官命令を無視して個人によって犯される犯罪(殺人、略奪、レイプ、等)です。これは、国内法や軍事規律にもとずいて処罰されるのが一般的です。
2)国家の犯罪  これは国家の軍事目的にもとずく犯罪、ないしは勝利の目的のために使われた「違法」な手段にたいする犯罪といえる。国家の犯罪と認定するためには、国家により正式に表明され、正式の命令または要請のもとで犯されるということが必要条件でしょう。例として都市、村落などを含む広範な自由爆撃区の設定、不必要な苦痛を与える特定兵器の使用命令など、特定の行為が計画されかつ命令されるものです。これの責任を追及するためには国際的な裁判(国際軍事裁判など)が必要になります。末端の個人は上からの命令に従っただけですので、一般的には指導者の国際法的責任が問われます。

現時点では、学会でも必ずしもクリアーカットに「戦争責任」を定義できないようですが、上の考えは理解しやすいと私は思っています。

>保守系の言論人だと思いますが
>「日本が戦争に負けたという意味で戦争責任はある」
>と発言したのを以前聞いたことがあるのです。

この発言は、「戦争犯罪」の責任をいったものではないでしょう。
「日本が戦争に負けたという意味で戦争責任はある」というのは、戦争に負けたという「結果責任」を問うているようですね。法律責任というよりも、指導者としての道義的責任、為政者としての社会的、政治的責任ということではないでしょうか。

以上、参考になるでしょうか?


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