Date: Mon, 06 Mar 2000 03:07:09 +0900 Subject: Re: リンクしました 佐々木嘉則 様 「メディアの辺境地帯」へのリンク、ありがとうございました。ご返事遅くなり、申し訳ありません。 「本多勝一研究会」のページを拝見させていただきましたが、これは単に本多氏という特定ジャーナリストの研究というだけではなく、言論の自由や、権 力に対峙する言論のあり方、さらに出版されたテキストの著者自身による改変のあり方など、様々な重要な問題を提起している、また自由闊達な議論の場 を提供している貴重なサイトと思います。 私自身は、本多氏を集中的に研究するだけのリソースをとても割けそうにありませんが、対岩瀬論争については報道被害の問題も提起されているだけに触 れざるを得ませんでした。 掲示板「本多研に異議あり!」で最近話題になっている、特定の言論を禁止する法律についての議論は、つい最近大阪高裁で判決が出された大阪・堺の元 少年に対する「新潮45」による実名・顔写真掲載記事の裁判にも関連しています。 大阪高裁判決それ自体は、実名云々以前の、法律家としての見識が疑われる乱暴なものなので、いずれ批判ページを書こうと思っています。 ただし、少年法61条の規定を、少年の実名・顔写真掲載を一律に違法行為と見なすと解釈するかどうかについては、私もまだ最終的な結論に至っていませ が、個人的には、さすがにそういう解釈はできないだろうと思っています。 (しかしながら、大阪高裁判決の問題は、条文を本質的に無効化するような解釈を行っていることです。仮に少年法61条が憲法違反だったとしても、その 内容を根本的に変えたり無効化したりするのは、立法機関にしかできないはずです。) 大阪高裁判決に対し、原告側は上告しました。最高裁がどのように判示するか、大いに注目したいと思います。 ところで、掲示板に投稿されている山崎さんという方の「全員が幸福になるべく社会が運営されていたとしませんか」という仮説には、私も非常に危険な ものを感じます。 そのようなユートピア主義的発想は、「幸福」の実現を確信する価値を「全員」に強要する企てを不可避的に生むのではないでしょうか。佐々木さんのカ ンボジアなどを例にした批判に、私も同感です。 長くなってしまいましたが、「本多勝一研究会」サイトのますますのご発展を願っています。また、私のページの「リンク集」にも貴サイトを加えさせて いただきましたのでご確認ください。 大住 良太