小説「悪魔の飽食」


投稿番号:12662 (2000/09/11 16:17)
投稿者:サンドウィッチ(まあ気長に)
mail:sandwitch@mail.goo.ne.jp


内容

こんにちは。

>正直に言いまして、僕は
>  「経口感染を防ぐ為、常にりんごをかじっては吐き出す」
>と言った、もしくは書いた人は医学知識のいちじるしく欠けた人でその内容が真実かどうかキチッと洗うべきなのでは?と思っているんです。

さて、tombotさんは中々鋭い点を突いていると思います。
この「悪魔の飽食」については、基本的な科学知識の欠如による思いこみや誤りが、数多く存在しています。ですから、今日、この本の学術的評価は非常に低いのです。森村誠一の事実を取り扱う基本的な態度に問題があったと考えます。その為、自身でもドキュメンタリーを書いていると信じながら、その内容や手法は小説になってしまった。「悪魔の飽食」を指して、あれは小説である、と云うのも、あながち間違いではないと思います。これは、何も前出の「偽写真」問題にとどまりません。

1. 科学的知識の欠如例
  (①②は裁判証言から、③はサンドウィッチの意見)

① 文中に、動物が血を抜かれてミイラのようになった、とあるが実際には、そんなことにはならない。(ドラキュラ映画からの思いこみか?)
② 同様に真空実験では、内臓が飛び出した、とあるが、そのようなことは起きない。
③ 「マルタの人格や経歴はもとより、その年齢さえどうでもよかった。」
   とあるが、もし実験を行うならば「年齢」や「経歴(病歴)」は重大なファクターだと思う。

2. 事実を取り扱うという意識の低さ
 「証言」なるものの背景や意図を全く無視していて、証言者は全て善意の人、という態度には問題がある。が、それ以上に絶対に許せないのは、彼は「意・図・的・に・事・実・を・曲・げ・た」と言うことです。彼は証言者の現住所を「鹿児島」等と意図的に偽っている。これは、小説や「ペログリ日記」等の私小説?では許されるでしょうが、ドキュメントとして発表する作品に許されることではありません。もし、証言者の住所を秘匿する必要があるならば、何も書かなければ良いのです。それを、あえて捏造したデータを読者に与え、意図的にデータ(証言者の実在)の「信憑性」を高めようとした。これはたまたま、その証言者がキーとなったことにより発覚したのですが、当然に他の記述に疑問符がついてしまう。これを悪びれることもなく、「背後に複雑な人間関係が介在していると判断したから」などと言い放つ姿の前には、事実の探求という大義名分は霞み、小説家としての姿しか見えないでしょう。

3. 人権意識の低さ
前出の「善意の証言者」(虚言癖のある証言者)を、データの捏造までして秘匿しようとした森村誠一だが、証言の提供を拒んだ元隊員達には、過酷なまでのペンの暴力を振るっている。証言を拒んだ者達の出身地を明記し(それは現在でも特定できる),部隊長との関係をあからさまに表記し、あたかも特定のその地区の住人が「悪魔」「外道」であるかのような扱いだ。前者と後者の扱いの差を思うとき、彼にとっては「事実の探求」など眼中にはなく、あるのは、彼の私設裁判所で有罪になった罪人たちへの、ペンによる制裁としか思えないものだ。

ははは、書きながらだんだん頭に来て、後半「ですます調」が崩れてる。(笑)

では。


PS.>則巻おかきさん
ところで、拙稿12640、読んでいただけました?
この投稿は則巻さんへのレスではありませんから、これにレスをつける必要はありません。でも、12640には是非お返事を。しつこいのは私自身も嫌いですから、さっさと片づけましょう。

以上


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