文だけじゃなく図も不思議


投稿番号:12701 (2000/09/16 02:00)
投稿者:おきなまろ()
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内容

横レス失礼します。則巻さんからの原文提示はあまり期待できそうにないので、近くの書店で『悪魔の飽食』を探してみました。すると、角川文庫の『新版 悪魔の飽食』がみつかりまして、その中に該当する部分がありました。
問題の部分を引用します。
-------同書p51より引用開始------
どんなに注意していても、工程中、空中に粒子となって飛散した生菌が口中に入るのを避けられない。
 そのため、柄沢班”工場”の各室には、赤いリンゴが山積みされていた。隊員らは作業の一区切り毎に、リンゴをかじっては吐き出した。こうすることによって、口の中の生菌をリンゴに吸いとらせるのである。
-----p51よりの引用終了---------
これを読んで、それじゃ「各室」とはどんな部屋なのか、と思いつつp49の『“細菌製造”工場略図』というのを見て驚きました。その中には無菌室、滅菌室、培養基室、培養室、冷却室、資材部事務室、兵器庫などとともに炊事場やテニスコートがあるのです。略図によると、この炊事場やテニスコートのあるところは、無菌室や培養室などとは、一応、壁で隔てられたところにあるのですが、その間はドアと廊下を経て行き来できるようになっており、その間には更衣や消毒をするための部屋はありません。“工場”に入るためには以下に引用するような方法で更衣室と“浴場”を通ってしか入れない筈なのにですよ。
-------同書p47より引用開始------
更衣室で裸になり、白い作業服にガーゼ七−八枚を重ねたマスクをかえ白帽をつけ、ゴム製の前掛けをクビから足首上まで当て、ひざ下まであるゴム長靴をはく。ゴムの手袋をはめて特別製のメガネをかけると完全防護になる。この姿で浴場に入るのである。浅い浴槽には石炭酸液が張ってある。消毒液の中をざぶざぶと歩いていくと、浴槽を渡り終えたところで、ひざから下が無菌状態となる。消毒の川であった。
-----p47よりの引用終了-----------
そのようにして消毒及び完全防護をした隊員たちは、無菌室では
-------同書p48より引用開始------
無菌室で作業中の隊員は、分厚いマスクをしている上に、円型の白帽、大きなメガネを掛け、ほとんど全身を覆っているため、だれがだれだか判別がつかない。生菌を吸いこまないよう、作業中はいっさい言葉を発せず意志の伝達はすべて手まねと身ぶりでおこなった。
-----p48よりの引用終了-----------
のように慎重に感染を防いだようです。このように、菌を吸いこまないために、作業中は分厚いマスクをしていっさい言葉を発しない隊員たちが、作業の一区切り毎にリンゴをかじったり、あるいは休み時間にはそのままの格好で(更衣せず)何かを調理して食べたり、あまつさえテニスをしたりしたのでしょうか?ちょっとすごい情景であるような気がします。

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