本多勝一研究会「読者からのおたより」

川口泉氏からのメール

(1999年7月5日受信)


以下のメールは、当会のホームページに応えて川口泉氏から送られてきたメール(1999年7月5日受信)です。「いただいたメールは公開する場合があります。」というお断り書き(ホームページ表紙に明記)にしたがい、ここに原文を公開します。

このメールに対する当会の対応を御覧になりたい方は、ここをクリックしてください。


【ここから川口泉氏のメール】

はじめまして。
HPを拝見して、メール差し上げます。
のっけから長くなり、恐縮ですが、お読みいただければ幸いです。

ごく最近になって、インターネット上で本多勝一への批判が華やかに(?)展開されていることを知った者です。
私の場合も、ここ十年ほどの本多氏の言説はかなり遺憾に思っておりました。
あまりに教条的な決め付け、論理の飛躍、読み手への説得など当初から考えていないような断定ぶりは、どうしようもないと感じてました。
「週刊金曜日」にしても、発刊前には多少期待し、賛同者になったのですが、実際に内容を知ってからは購読に到らなかったわけです。
ニフティサーブに「本と雑誌」というフォーラムがありまして、そこに「金曜日の部屋」が設けられてました(いまでもあるのでしょうか?)。
そこで、開設から1、2年ほど「金曜日」批判をしておりましたが、四面楚歌でどうしようもなかったことを記憶してます。
その後、事情あってニフティは止めましたので、その後のことは分かりません。

そのような経験をもつ私ですので、やはり同じように感じている人はいたのだな、とうれしく思ったのですが、この「研究会」の志向性には少し疑義もあります。
ふつう、インターネットでこうした「○○研究会」といったものが設けられる場合、対象を好むがゆえ、そこから何か得たいとの一心でなされるのだと思います。
確かに本多氏の過去に遡っての自己文改竄というのは文章家としてのモラルを問われかねない大問題です。
だから、そこをこうしたMLで追求していく、ということも意義あることだとは思うのですが、表層的には嫌がらせか誹謗中傷の類のようにも感じられてしまいます。
まず何よりもこのようなことをして、皆さんはそこから何を得たいとされているのでしょうか?

私の場合、本多批判はそのサヨク教条主義批判という観点でのものです。
最近の本多氏は非科学や陰謀論にまで接近しているようで、そうした面での批判も大事だと思うのですが、この両者にはもちろん思考法において共通のものがあります。
また本多のサヨク主義が、一部の市民運動などに悪影響を与えている点も見逃せません。
組織犯罪を取りしまる上でごくごく当然の捜査手段にすぎない「通信傍受」を「盗聴」と断定してヒステリックに反対したり、有事における軍隊の行動を法の支配のもと緻密化する(むしろ必要な)法律であるガイドライン関連法を「戦争法」などと決めつけ、いたずらに社会を混乱に落とし入れようとする。
本多批判はこうした政治面での主張もひとつひとつ批判の対象に取り上げて行くべきではないでしょうか?
「文献考証」も大事かと思うのですが、それだけでは壁に突き当たってしまうような気もします。

そしてもう1つ気をつけねばならない点があります。
私はいまでも本多氏のジャーナリストとしての仕事はそれなりに評価しています。
そして、もちろん「自由主義」史観や、「ホロコースト否定」のネオナチ日本版論者などに対しては本多氏支持です。
そこを間違えてはいけないと思うのです。

一定の価値観を共通認識とし、「文献考証」だけではない総合的な本多批判の実行ということでしたら、私もぜひこのMLに参加したいと思うのですが、覗いてみないことにはどのぐらいの質量のメールが飛び交っているのかも分かりませんね。
ということで、どうなんでしょうか?
ご意見などお聞かせいただければ幸いです。
長々と大変失礼しました。

【川口泉氏のメールここまで】


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最終更新日2000/09/17 (Y/M/D).